「あわかん」では確かにアジが釣れたが、連休などの繁忙期には値段もかなりお高いし、そもそも一人客は予約が取れない。仕方ないので「あわかん」からほど近い洲本港でアジを狙う。その洲本港の真ん前にあるリーズナブルな宿で、ゴールデンウィークやシルバーウィークにひたすら数日間一人で釣り漬けの生活を送るのがここ数年のパターンだ。
東京から新幹線で新神戸まで2時間半、そこから高速バスで更に1時間半、乗り換えを入れても道が混んでなければ4時間強で洲本まで行ける。但し、舞子から徳島まで淡路島を縦断する本四高速道路は、近年、GW期間中には凄まじい渋滞をすることで有名なので、連休中はプラス2~3時間はかかる時もある。
洲本港は漁港ではなく、かつては旅客定期船や、誘致した鐘紡などの輸送拠点であったようだが、現在は大阪の深日港との試験運航を行っているのみ。
ボートレースの場外舟券場も併設されており、よく整備された大きな港だ。釣り場となる堤防も豊富で、風のむきや潮などによって色々ポイントを変えながらどこかでは釣りができるのも滞在型にはありがたい。3~4日連続でやっていると、大体、一日ぐらいは強風や雨に見舞われる。そんな時でも何とか釣りができる場所を探せる。
一応、淡路島の中では有力なアジングスポットのようで、ちらほらアジンガーの姿も見かけるが、多くの人はサビキで大量のアジを釣っている。アジが回遊して来ない時にも港の内側ではガシラ(カサゴの関西での通称)はいつでも釣れるし、外側ではチャリコ(同じく、鯛の子供の関西での通称)もよく釣れる。大きくはないが夜にはメバルもかかるし、堤防に墨の跡も多いのでエギングでイカも釣れるのだろう。太刀魚狙いの人達で外側の高堤防がギッシリの時もある。環境省の「日本の快水浴場百選」にも認定された「大浜海岸」に隣接しているのでキスもいるのかもしれないが、私はまだ釣ったことはない。
洲本港は淡路島では人気の釣りスポットなので、シーズンの休日などは場所取りもそれなりに大変だが、平日の昼間には貸し切り状態になる時もある。広大な港で一人で釣りをするのも中々オツなものだ。水平線から昇る朝日や、目の前の山頂にある洲本城(夜にはライトアップもされる)などの風景を愛でながら。
港のすぐ目の前に何軒かリーズナブルな宿もあるので、そこを拠点に数日間、釣り三昧の日々を送る。実際、部屋に戻るのはトイレの時と寝に帰る時だけで、あとは一日中、目の前の洲本港のあちこちで釣り糸を垂れている。釣れても釣れなくても、毎日、きれいな景色と海を眺めていると、千葉に帰る頃には頭の中はすっかりカラッポになっている。
今回も、釣果はいまひとつだったが、洲本での休日を満喫して、いよいよ最終日、最後の一投で、きた!アジか!? いや回遊しているイワシか? それともサバか?
引きでは分からない。陸に上げても跳ね回って暗がりではよく見えない。太さからイワシではなさそうだ。ようやく大人しくなったのでしげしげと眺めてみると、フグだった・・・
それを見ていた猫が寄ってきて隣りに寝そべり、俺が次の獲物を釣り上げるのを待っている。もう帰らなきゃいけないんだけど・・・
最後に一句、
「はるばると 洲本来たりて フグと戯むる」
【釣り&アウトドアスタイルマガジンHEAT(ヒート)】にこの記事を寄稿してますので、よければそちらもご覧ください。