「速度を上げるので、帽子が飛ばないように気をつけてください!」
レインボーブリッジの下をくぐった時、エンジンと波の音にかき消されながら、ガイドさんの声が聞こえた。跳ねるボートの上で取っ手に摑まりながら、もう片方の手であわてて帽子を押さえる。

レインボーブリッジをくぐると・・・
チヌをボートから本気で狙う
豊洲からほど近い勝どきにあるマリーナから出航し、初のボート・チニング(ルアーでチヌを狙う)に挑戦してきた。いつもはホームグラウンドの「東電掘」で、陸っぱり専門なのでなかなか釣れずに苦闘しているが、今回は一気にボートで沖に出て、本格的なチニングをやってみた。

ボート用タックルもチニング用の仕掛けも何ももってないので、手ぶらで行ってマリーナのクラブハウスでレンタルロッドを借りて、ワームと「チヌキューブ」を買いこんで、イザ出航!

ワームを調達
チヌは真水がお嫌い
ボートでポイントへと向かう船上で、ガイドさんがいろいろとレクチャーをしてくれた。そして、「今日は台風の影響で真水が多く流れ込んでいるので、魚の食いはシブイかも・・・」と予防線?を張られる。

今日はシブイかも・・・
もともと海の魚であるチヌは、隅田川のような海と川の喫水域では、真水の割合が高くなると体調が悪化して活性が下がり、エサを食べなくなるそうだ。シーバスのように遊泳力が高くないので海まで逃げられず、ひたすらそこで耐えているらしい。
アタリまくり!と思ったら・・・
船がポイントに着き、どてら流しモードに入ったところで、いよいよボートフィッシングの記念すべき第1投!
揺れて足場が悪い船上なので、あまり大きくは振りかぶれない。軽く投げて、ワームが着底したらゆっくり巻いて「アゲる」と、なんと1投目から「トントン」というアタリが!

さらにリールを巻いてズルズルと引いても、ずっと「トントン」というアタリが続く。チヌはこんなに長くチェイスするものなのか??
ガイドさんに「ずっとアタリのような反応があるんですけど!?」と聞くと、「それは海底の石や砂の上をワームが跳ねてる感覚です!」
確かに、キス釣りで砂地の上を引いてくる時、海底の砂が波状になっている(砂紋)ため、トントンというアタリのような感触がするのと同じか・・・

この砂紋がアタリに感じる
ついに本物のアタリがきたが・・・
最初のうちはアタリと地面の起伏の区別がなかなかつかず、慣れるのに苦労した。1時間ほどして少し慣れてきたとき、明らかにそれまでとは違う鋭いアタリがあった。思わず竿をあおってアワせる。が、アッサリ逃げられて掛からず・・・

チヌは口がカタイ?
ガイドさんが「アタリがあってもアワせてはダメです! ガマンして同じペースで巻き続けてください」と。チヌは口が硬いから無理にアワせるとハリを弾いてしまうそうだ。
「なるほど、タイラバ(鯛を疑似餌で釣る)と同じなんですね?」と、タイラバなどやったこともないのに、それっぽい返事をする私。テレビの釣り番組を見て「タイラバのコツは、アタリがあっても絶対にアワせず、同じ速度で巻き続けるのが一番大事」と言っていたのを思い出して。

やったことのないタイラバ釣り
次は絶対あわてず、アワせず、等速で巻き続けるぞ!と誓いながら粘るも、その後はアタリがなくなった。
「チヌキューブ」でヘチ釣りの真髄を知る
ワームの投げ釣りでアタリがなくなったので、船を岸壁沿いに停めて、ボートからヘチ釣りに挑戦してみることになった。
「餌に勝つ!」とのガイドさんの言葉を信じて即買いした「チヌキューブ」を使って。

エサよりも釣れる?
以前、私も東電堀でヘチ釣りにトライしたことがあるが、その時は見よう見まねの我流だったので釣れなかった。今回はガイドさんにちゃんとコツを教えてもらったので期待が膨らむ。
【ヘチ釣りのコツ】
- ロッドの一番端っこを持って、リールは使わず糸の長さを固定して、延べ竿のように扱う
- 仕掛けは「壁ぎわ近く」ではなく「壁ぎわ0cm!」に落とす
- 仕掛けが着水したら、糸が水面に浮くように竿の穂先を下げる
- 仕掛けが水中で自然落下していく途中で違和感を感じたら、すかさずアワせる
- 何も反応がなく、糸がピンと張るまで仕掛けが沈んだら、1回シャクって魚が掛かっていなければ引き上げる
- ボートの進行方向に向かって30cm先に同じように沈める
- ひたすらこれを繰り返す
30分ぐらいこのルーティーンを繰り返し、何とかヘチ釣りの基本動作は身に付いた。しかし結局、ヘチ釣りでもチヌの顔を見ることはできなかった。
ヘチ釣りって楽しい?
実際に正式な?ヘチ釣りを初めてやってみた私の感想は、
「これ、オモロイか??」
いつも東電堀でほかの釣り人がやっているのを見ていても思うが、メチャクチャ地味で根気のいる釣りだ。リールが付いてるのにそれを使うこともない。仕掛けをシャクって誘ったり、投入するポイントを変えることもない。ひたすら壁ぎわに、糸を沈めて、引き上げて、30cm先に転々と移動していくだけだ。
それに岸のすぐ際で釣るなら、わざわざボートに乗って沖から行かなくても、素直に陸から釣ればいいじゃん!と思うのは私だけ?
オレはやっぱり最初にやった、遠くへ投げてワームを底に這わせる、というアジングに近い釣りの方が楽しいな。
私は釣れなかったが・・・
2時間というチョイ釣りの時間制約のなかで、さらに台風明けで魚の食いも悪いコンディションだったので、アタリはあったものの、結局、私はチヌを釣り上げることはできなかった。せっかく、今日はタモが船に備えられてたのに・・・(タモがないとこうなる↓)

でも、ガイドさんが大きめのチヌを釣ったので、魚が釣れるのは間違いない。

ちゃんとチヌはいた!
アーバン・ボート・チニングをやって起きた変化とは?
私はチヌを釣れなかったが、日本のド真ん中の東京湾で、海上からレインボーブリッジや羽田空港から飛び立つ飛行機、それに湾岸タワマン群を眺めながらの釣りは、千葉の自然の中での釣りとはまったく違った趣がある。それを豊洲の自宅から30分ほどの場所で手軽に体験できることを発見した。

船上をガンガン飛行機が飛ぶ
洗練された都会の釣り?の雰囲気に触れると、アラ還おやじまでもが、すっかり釣り番組の若手ルアーマンのような気分になる。なので、この番組?のエンディングも彼らのカタカナ語を真似して締めよう。
「今日は初めてのアーバン・ボート・フィッシングでチニングにトライしてみました。食いが渋いシチュエーションの中で、結局ランディングはできなかったけど、バイトは何度かあったし、エンジョイできたので、またチャレンジして、次回は必ずリベンジしたいと思います!」

皆さんがカタカナでしゃべる気持ちが少し分かったカモ?
