引退後に備え「島」に籠って「1週間釣りだけ生活」を実験してみた【前編】

釣り

「ホンマにこんなにたくさんアオイソメ買わはるの?」

釣具屋のおばちゃんが怪訝そうな顔で尋ねてくる。ネイティブの関西弁は、やはり心が和む。

「今日から1週間、この島で『一人釣り合宿』を張るんで、ぎょうさんいるんですわ」と、私も関西弁で応じる。

島の釣具屋にて・・・

豊洲から島へアジを求めて

GWの前日、私は関西のとある島にいた。ドス黒い豊洲の海から、青く澄んだ島の海へと、アジを求めてはるばるやってきたのだ。

釣り以外に何の娯楽もない場所で、日の出から日の入りまで一日中、釣りだけを1週間ぶっ続けでやってみる、というのが今回のプロジェクト?だ。還暦を過ぎたカラダと心がどこまで耐えられるのか、それを試してみたい。『老人と海』の主人公サンチャゴの心境だ。

湾岸タワマン住人の東京湾釣り日誌⑤【東電掘リベンジ編】 ~還暦からの「職住釣」近接ライフ~
前回、「豊洲ぐるり公園」で思わぬ大物をいきなり釣ってしまったが、やはり私の主戦場である「東電堀」で何かを釣らねばならぬ。そこで後日、ホームグランドの東電掘で夕マヅメにリベンジしに行った。 リベンジ1回目(中潮の夕マズメ) 東電掘にもチヌ(黒...

そしてこれが達成できれば、数年後に仕事を引退した時も、全国を渡り歩きながら釣り三昧の生活が出来るのではないか?という検証でもある。

1週間、ここで闘う!

ただ寝るためだけの宿

まずは1週間のベースキャンプ?となる宿に入る。部屋は寝るためだけの最低限の機能しかない安宿だ。シングルベッドと狭いテーブルにユニットバスだけ。ここで1人で1週間を過ごす。

ベースキャンプ?の内部

この狭いテーブルで食事をするしかない・・・

唯一の利点は、宿の目の前がすぐ海で、徒歩1分で釣りができるということ。この点だけは豊洲のタワマンよりもいいので、その理由だけでこの宿を選んだ。ここなら釣り時のトイレの心配もせずに済むし。

ベースキャンプの外部

狭い部屋の中で、あらかじめ送っておいた釣り道具を広げ、早速、釣りの準備にかかる。

1週間の闘いの武器?一式

そして海に向かうと、東京を出た時の豪雨がウソのように青空が広がり快晴だ。が、10mの強風が吹き荒れていて、とてもまともに釣りができる状況ではない。しかし、わざわざ東京から来て、初日から釣りを断念するわけにはいかない。何とかやや風裏になる場所を見つけて竿を出してみる。

「月下美人」の二刀流でアジを攻める

今回の合宿でアジを攻略する私の戦略は「二刀流」だ。陽が高い昼間は、海底に潜んでいるアジを狙って、やや大きめのロッド「月下美人 MX MB 610L-S-5」に3gの虫ヘッドを付けてボトムを探る。コンパクトに収納出来るモバイル(MB)仕様なので、遠方への出張の時はいつも帯同する相棒だ。

遠征時の相棒「MX MB」

一方、夕マヅメから夜中にかけては、水面に浮いてきたアジ用に極短小の「月下美人 AJING 510UL-S」に軽い1gのヘッドを搭載し、表層を流す。

このダイワ「月下美人シリーズ」2機種による二刀流で島のアジに挑む!

大谷翔平バリの?二刀流で

記念すべき初日の結果は?

陽もまだ高いし、軽いオモリだと強風にあおられるので、重い3gの方で底を探る。まだ海の状況を把握できておらず、どこにどんな根や岩があるか分からないので、慎重にズル引きで海中の様子を探る。

まずは初日の闘い開始!

しばらく底を探り続けていると、小さなアタリがくるようになった。アオイソメの存在に島の魚たちが気付き始めたようだ。そして突然、前触れもなく急にグンッ!と糸が引き込まれた。

掛かった! かなり強い引きだ。

島での初物ゲットか!と喜んだのもつかの間、グイグイ引っ張られ根に逃げ込まれた。負けじとコチラも引っ張り返すがビクともしない。

しばらく魚が根から出てくるのをじっと待ったり、力ずくで引きずり出そうとしたりして、5分ほど格闘を続けたが、結局、そのままラインブレイク・・・ 初物ゲットは幻に終わった。

陽も暮れ始めたので初日は早めに切り上げ、結局、初日に掛ったのはその一回だけで、まさかのノーフィッシュで終了。 嫌な予感の島合宿のスタートとなった。

日が暮れて初日はボーズで終了・・・

当面の食料を確保すべく、閉店間際の近所のスーパーに駆け込み、残り物の弁当や酒類を買い漁って部屋に持ち帰った。

当座の食料を買いこむ

そして部屋の狭いテーブルで、プラスチック容器に入ったままの冷えたイナリ寿司とカップ酒、という侘しい晩餐を済ます。一応、オレ、「うつわソムリエ」なんだけどな・・・

わびしい初日の夕食

2日目。焦りが募る

昨夜は隣室!のオッサンのイビキで熟睡できなかった(どんだけ部屋の壁が薄いんだ??)。それでも昨日のボーズを挽回すべく、4時に起きて夜明け前から釣り場へと向かう。相変わらず風は強いが昨日よりはややマシだ。

張り切って戦闘を開始するが、エサ取りのアタリはあるがなかなか掛からない。すっかり陽も登り、朝マヅメが終わるも未だにノーフィッシュ。だんだんと焦りが募る。せっかくここまで来て、まさかのボーズが続くとは・・・ ここは豊洲か〜い!

1時間ほどたった頃、ようやくスズメダイが掛かる。エサ取りの代表魚だが、とにかく魚が一匹釣れて、少し心が落ち着く。

スズメダイでも釣れるとホッとする

焦りから来る殺気?が消えたせいか、そこから立て続けにフグ、ベラ、チャリコ(鯛の幼魚)、グレ(メジナ)と釣れ、徐々に魚種も良くなってくる。だんだん下げ潮が効き始めてきたのか?

グレまで釣れた!

アタリが止まってしまったところで、昨夜スーパーで仕入れておいたおにぎりの朝ごはんを堤防の上で食べる。

堤防の上で朝ごはんのおにぎりを

とりあえず魚も釣れて、空腹も満たされ、穏やかな気持ちで春の陽気を楽しみながら、再び釣り糸を垂れる。

昼過ぎに潮止まりになったので、一旦、宿に引き返し、夕マヅメからの本格バトルに備え、ひと時の昼休みタイム。 昼飯は海辺近くの飯屋で「生しらす丼」とビールを堪能する。

昼ご飯は豪華に?しらす丼を

さらに深夜までのバトルに備え、スーパーで夕食の弁当や飲み物を仕入れておく。昼休みとは言え、色々と忙しく、宿で仮眠する暇もなく、15時には再び戦場へと向かった。

再び戦場へ!

しかし結局、その後は大した釣果はなく、夜も早めに宿に戻った。そして、今日もスーパーの冷えた弁当で夕食だ。

暖かい晩ごはんが食べたい・・・

3日目。ついにフィーバータイムが始まった!

今日も日の出から海に出る。ここまでの2日間の釣果は到底満足できる内容ではないが、今日は天候もよく「大潮」なので、そろそろ島らしい爆釣が欲しいところだ。

まずは腹ごしらえで、今日も朝ごはんを堤防で食べる。きのうは和食だったので(ただのおにぎりだけど)、今日は洋食だ(ただのカレーパンだけど)。

今日は洋食?の朝ごはん

午前中は、キスやハゼがポツポツと釣れた程度で、潮止まりの時間帯になりアタリもなくなったので、その間に近所のラーメン屋で昼飯をかき込む。

せめて昼飯は暖かいものを食べたい

帰りに魚用の撒きエサと、自分用のビールを仕入れて、堤防の上で日向ぼっこをしながら冷えたビールを飲んで、夕マヅメに向け気合を入れなおす。

海の上でビール!

日没まであと1時間ぐらいになり、海面が赤く染まり始めたころ、周囲で歓声が上がり始めた。どうやらアジが回ってきたようだ。ついに夕マヅメのフィーバータイム到来か!?

そして、私の竿にもアタリがきた! 思い切りアワせると、かなりの抵抗感だ。アジか!? いや、この重さはアジではないな。上がってきたのはチャリコ(鯛の幼魚)だった。

子供でも鯛特有の強い引きが楽しいチャリコ

すぐにリリースして、エサを付け替え投げる。またすぐにアタリがくる。今度は少し軽い。これはアジかも!? そして上がってきたのは、ついにアジだった! ちょっと小さいけど・・・

やっとアジが!

それからしばらく入れ食い状態が続く。投げると必ずアタリがある。そして2回に1回は何らかの魚が掛かる。投げては釣れ、釣れた魚を針から外してリリースし、エサを付け替えてまた投げる。するとまた釣れる。この繰り返しが1時間ほど続いた。

きのうまでがウソのように、釣りがこんなにも簡単で、楽しいものとは・・・

いろんな魚が釣れまくる

結局この日は、昼飯時も部屋には戻らなかったので、朝の5時から夜の23時過ぎまで、実に18時間も海にいたことになる。学生時代に一日12時間、開店から閉店までパチンコ屋に入り浸っていた時と同じ心境だ。

人生を支えてくれた「ソウル・ソング」!? それが浜省の『MONEY』
『♪いつかこの手に、つかむぜビッグマネー!』 という『MONEY』の歌詞を口ずさみながら、大学生だった私は、毎日、学校に行く代わりにパチンコ屋に向かっていた。当時、人気絶頂だった新車の「プレリュード」を買う金を稼ぐために。 テニスサークルと...

宿に戻って遅い晩飯を掻き込み、シャワーだけして、日付が変わってから仮眠して、明日もまた4時起きだ!

4日目。連チャンでフィーバータイムが!

ほとんど寝てないが、昨夜の興奮が冷めやらず、今朝も日の出前から海に立つ。昨夜の再現を期待して。すると願いが通じたのか、今日も夕マヅメから再びフィーバータイムがやってきた!

今日もフィーバータイムの幕開けか?

日没頃から夜中まで、潮止まりの時間にも途切れることなくコンスタントに釣れ続けた。そろそろ日付が変わるころ、ようやくアタリも止まったので、やっと切り上げることにした。

最後は、疲れが溜まってキャストのコントロールが乱れ、思ったところに投げることもままならない状態だ。空腹と疲労で椅子から立ち上がった瞬間にクラクラして、思わず海に落ちそうになる。

結局今日も、昼休み時間以外はずっと堤防の上で過ごし、15時間ほど海にいた。

こうして合宿も半分が終了し、島の海を満喫したが、体力はそろそろヤバくなってきた・・・

(釣り合宿の結果は?【後編】に続く)

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