常滑に続き、「うつわソムリエ産地研修会」第２弾では、九谷焼や山中漆器で有名な山代・山中温泉郷に行ってきた。（前回の研修会の様子はコチラ↓）
最寄り駅は北陸新幹線の「加賀温泉駅」になる。残念ながら、駅周辺は全国チェーンの店がならび、温泉街の雰囲気はゼロだが、クルマで20分ほど走ると山代温泉街に到着する。
加賀温泉駅周辺には温泉街の雰囲気はない
その温泉街の中心にあるのが、今回の研修会のメインディッシュでもある高級旅館「あらや滔々庵」だ。
山代温泉「あらや滔々庵」
今回の中心舞台は山代温泉の高級旅館「あらや滔々庵」
「あらや滔々庵」（アラヤトウトウアン、と読む）は、前田家歴代藩主入湯の宿として、湯番頭の命を受けて以来、十八代を数える老舗宿だそうだ。廊下には、ミシュランをはじめ、いろいろな賞の楯が並んでいる高級旅館だ。なので、私が泊まった部屋も１人１泊約10万円也！
廊下には数々の受賞楯が並ぶ
今回はここを中心に、豪華に、優雅に、加賀温泉郷を満喫する、というのが私のコンセプトだ。
宿の中は魯山人づくし！？
山代温泉郷は、北大路魯山人がまだ無名の若いころ滞在し、陶芸を学んだ地でもあるので、魯山人にゆかりのあるものが多い。あらや滔々庵にも魯山人に関する多くのものがあり、ロビーには魯山人の作品が普通に陳列されている。
玄関ロビーに陳列されている魯山人の作品たち
また、魯山人の作品を陳列している専用の部屋もあり、そこから庭を眺めることもできる。
魯山人作品専用の部屋も
もちろん温泉も充実
温泉宿なので、もちろん温泉も充実している。特に私が気に入ったのは、特別浴室の「烏湯」だ。黒い浴室に源泉のミストがたちこめ、窓から見える器のオブジェを椅子に座りながら眺めていると、まるで絵画をみているような気分になる。
もちろん温泉も充実
窓の外の景色が絵画のような「烏湯」
さらに、部屋についている檜の露天風呂に入りながら、好きな酒を飲んでマッタリ過ごすのは至福の時だ。
部屋の露天風呂でもマッタリ
夜はうつわソムリエメンバーで会食
夜は、いよいよメンバー揃っての夕食会だ。
個室での会食
社長さんから大吟醸の差入れが
豪華な食事と美しい器、そして、うつわ談義を中心とした楽しい会話で３時間があっという間に過ぎた。やはり、同好の士と、共通の話題での飲み会は盛り上がる。
豪華な料理とうつわ
九谷焼や山中塗りの器がいろいろ出てきて楽しいのだが、その中でも皆が一番盛り上がったのが「応量器」だ。大小６つの器が、実は一つに収納できるという珍しい器だ。
初めて見た「応量器」
全ての器が一つに収まる
宿の目の前には二つの「総湯」が
あらや滔々庵の目の前には、「古総湯」と「新総湯」がある。「総湯」とは、温泉の共同浴場のことだ。明治時代の総湯を復元したのが「古総湯」で、昔ながらの風情を再現している。一方「新総湯」は、まさに現在の地元の人たちの共同浴場で、中も今風になっている。
宿の目の前に古総湯（左）と新総湯（右）が
古総湯の中はこんな感じで、洗い場などはなくて湯船につかるだけだ。さらにお湯がかなり熱いので、それほど長居はできない。
古総湯の中はレトロな雰囲気
あらや滔々庵のカゴを持っていくと、入浴料（700円）が無料になった。
このカゴで古総湯に行けば無料に
さらに、宿の横には足湯もある。
宿の隣には足湯場も
旅館や商店が立ち並ぶ「湯の曲輪（ゆのがわ）」の道路沿いの灯篭には、様々な九谷焼が施されている。
道端の灯篭にも九谷焼が
あらや滔々庵がある温泉街の中心部から徒歩10分ぐらいの範囲に、「九谷焼窯跡展示館」や「九谷美陶園」などもあり、九谷焼の歴史を学んだり、お土産を買うことができる。
展示館では九谷焼の歴史を学べる
九谷焼の登り窯跡も展示
また、宿から歩いて３分ほどのところにある九谷焼窯元の須田菁華（すだせいか）は、若き日の魯山人が陶芸を習った由緒ある窯元で、店頭で立派な九谷焼を買うこともできる。
（山中温泉編に続く）
