以前、下記の「千葉県のお気に入りコースベスト3」で第1位にあげた「鳳琳カントリー倶楽部」について、その詳細をご紹介する。
現在はあまり有名ではないが、かつては知る人ぞ知るバブルを象徴するような豪華なゴルフ場だったようで、自民党時代の亀井静香氏がヘリコプターで乗り付けていた、という伝説も持つ。
兵どもの夢のあと?バブル全盛期の象徴のようなゴルフ場
ここは平成元年9月開場と、まさにバブル絶頂期にできたゴルフ場である。
「日本の伝統文化とゴルフの伝統の融合」を志向し、「世界に誇れる日本独自のゴルフ場の姿」を目指すというコンセプトには、当時のイケイケの日本の気概が感じられる。
「鳳琳」という名前の由来は、「鳳は鳳凰、琳は珠玉の庭園を持つ宮殿」から来ているそうだ。そして「それは、人生の王道を歩む人に捧げる名」ということなので、選ばれし成功者のための桃源郷を目指したということか。
分かる人だけ、選ばれた人だけが来ればいい、という思想が今も残っているのか、商売っ気はあまり感じない。当然、会員制であり、楽天GORAやGDO等には普段は開放していない。宣伝もほとんどしていないようで、ガツガツした感じが全くなくて自然体なのだ。だから、いつもすいている。
一方で、「ゴルフ会員」でなくても「JAF会員」ならOK!とか、3年以内のリピーターはOK、という制度もあり、何とも不思議ではある。
「美の桃源郷、鳳琳の庭園」
コースは、「これがゴルフ場なのか!?」と思うほど華麗に造られている。「日本庭園の巨匠」岩城亘太郎氏が手掛け、 「鳳琳八景」と称される回遊式日本庭園風にコースがなっているのが特徴だ。コース全体が見事な日本庭園になっていて、まさに壮大な庭園の中で球を打っているような感覚である。
各ホールには「大滝」「石庭」「鳳翔の池」「千本桜」「白糸の滝」などの日本名がついていて、それぞれが特徴のあるホールになっている。だから、鳳琳に行くといつもゴルフより写真を撮ることに熱中してしまう。ゴルフはせずに、わざわざ景色を見て回るだけの「随伴ラウンド」というのもあったそうだ。
川あり、池あり、そして滝あり。地形は全体にフラットで、ホール幅もゆったりとしており、プレーでストレスを感じることはほとんどない。景色を愛でながら、ゆっくりと回れる。
名物3番ホールには、落差16メートルの荘厳な「大滝」がある。小規模な滝があるゴルフ場はいくつもあるが、これだけの規模の滝があるコースを私は他に知らない。まさに本物の「滝」なのである。そして、ティーショットを豪快に打ち下ろした後の2打目地点がちょうど滝の真ん前になるのだが、ラウンド中でもそこでキャディさんが記念撮影をしてくれたりする。
そして6番ホール手前の池に浮かぶ雰囲気満点の茶店では、かつては抹茶が点てられていたそうだ。残念ながら現在は、自販機が寂しく並んでいるだけだが・・・
ラウンド中も、コースを取り巻く植木の一本一本を職人さんが手入れしているのに出くわす。この広大なゴルフ場の木を全てやるにはどれだけの手間と金がかかるのだろう?と他人ごとながら心配になる。我家の狭い庭ですら毎年10数万円かかるというのに・・・
順序が逆になったが、もちろん練習場も充実している。
クラブハウスから少し距離があるので、以前はカートで行けたが、今は徒歩になっている。ドライビングレンジは、250ヤードぐらいありそうな打ち下ろしで10打席ほど。その横に、広々としたアプローチとバンカー練習場もある。
設備も豪華。ロッカーは全て大理石!
だが、私が最初に鳳琳を訪れた時に一番驚いたのは、実はコースではなく「ロッカー」だった。更衣室のロッカーが全て大理石だったのだ!。私のゴルフ場評価の重要ポイントのひとつが「ロッカーのクオリティ」で、金属製ではなく木製であることが重要なのだが、ここは木製どころか大理石なのだ。こんなゴルフ場は今まで見た事がない。(私は入ったことがないが、女性用は木製のようだ)
そして、次に驚いたのが、トイレの個室の広さだ。推定、四畳半ぐらいあって机を入れれば書斎になるぐらい無駄に?広い個室がたくさん並んでいる。実用性など超越した「こだわり」以外の何物でもないだろう。そして、トイレやロビー、食堂など至る所に絵画や彫刻が配置されており、美術館のような雰囲気を醸し出している。
また、風呂の脱衣所の大きな窓からはモミジがきれいに見える。風呂場の中は全面、黒の大理石があしらわれ、席も8つほどでゆったりと取られており、落ち着いた雰囲気だ。
ただ、恐らくコロナ対策で近年取り付けたと思われるが、隣席との間に「白いプラスチック製の仕切り」があり、全体の質感とそぐわないのが残念。あと、私にとって第2の重要ポイントである洗顔フォームも置かれていない。
最後に食堂だが、恐らくコロナ期以降、運営を変更したのだと思われるが、水をセルフで取りに行ったり、メニューが限定的であったり、コロナ対策で実施したのかコスト削減のためにやったのか定かではないが、全体的にとても豪華な雰囲気のゴルフ場の中で、食事に関する部分は不自然なほどチープだ。これではちゃんとした接待には使いづらく、ここは大きなマイナスポイントではある。
確かにコロナ禍のころは、コースの手入れも十分でなく、フェアウェイの芝も伸び放題、という時期もあったが、今はきれいなコースに戻っている。次は食堂についても「コロナモード」?を解除して、優雅な食事ができる運営に戻ってほしいものだ。
再びかつての姿が戻ることを切に願う
日本全国には、バブルと共に生まれ、そして共に消えていったゴルフ場が数多くある。千葉県では、この「鳳琳カントリー倶楽部」が、バブルを象徴するような存在の一つだったのだろう。
バブルの隆盛と崩壊という時代の流れに翻弄されながら、現在も何とかその余韻を残しており、私の嗜好にピッタリのゴルフ場である。できれば全盛期に一度行ってみたかった・・・
コロナ禍が追い打ちをかけ、経営が厳しくなったせいか、かつての面影が徐々に失われていくのが残念でならない。ぜひ経営が上向き、かつての姿を取り戻し、再びバブル臭を発してくれることを切に願う。