投資のカネは生活費とは「別勘定」で、そして気持は「別感情」で!

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足下、連日のように相場が千円規模の乱高下を繰り返している。それを見ながら、毎日、気持ちが落ち着かない人も多いだろう。特に経験があまりない初心者は。

しかし、歴史的な「令和ショック」からまだ日も浅いので、この程度の動きは当然のことだろう。地震でいうところの「余震」みたいなものだから、震度7クラスの巨大地震のあとは、数ヶ月間ぐらいは震度4クラスの大きな余震が起こりやすい

相場の世界でも二番底、三番底という「余震」は普通にある。だから慌てる必要はない。最初の大きな下落から数ヶ月~1年半後ぐらいまでの間に、二番底というのはよく起こる。「リーマンショック」の時は半年後、「チャイナショック」の時は1年後、というように期間は様々だ。それは、相場の暴落自身が実体経済に影響を与え、その経済状況の悪化を再び株価が織り込みに行く、という自己循環が起こるからだ。

例えば、株価が高値から急落することで、それまで株価の上昇で儲けて気持が大きくなっていた人々が、急に損したり、含み益が吹っ飛んだりして、消費意欲がしぼんでモノが売れなくなってしまい経済が悪化する。あるいは、株安の引き金にもなる急激な円高で輸出企業の業績が悪化する、など、相場の急変が時間をおいて実際に経済・企業収益へ悪影響を及ぼす。それを見てまた株価が下がる、というメカニズムが二番底の正体だ。テクニカルや需給ではなく、ファンダメンタルズによるものなので期間は一概に言えず色々だ。

その長い期間、大きく動く相場を見て、そのたびに一喜一憂していてはとても精神がもたない。なので、よく言われるように、『投資のカネは生活費とは「別勘定」のヤラレてもいいカネでやるべし』。そしてさらに付け加えると、『気持ちも「別感情」で!』だ。

投資で儲けたり、損した金は、通常の生活費とは別次元の単位で考えないとおかしくなる。毎日、スーパーで1円でも安く買おうとしているのと同じ感覚で相場をやると、1万円やられただけで、「あのカネがあれば、あれもこれも色々買えたのに・・・」と考えてしまう。そうなるととても大きく相場など張れない。

1円も損したくないと思うと、結局、「1カイ2ヤリ」の小さな勝負をデイトレデで繰り返すことになり、株式投資の本質である「長期で人類の進化を享受する」ことなどできるはずもない。

(注)「1カイ2ヤリ」とは、1円で買って(カイ)2円で売る(ヤリ)、というように、最小単位の値幅で売買をすることで、損失を極小化しようとするトレードのこと。

私も、

数万円単位の儲けで一喜一憂していた頃は、「これで新しいゴルフクラブが買えるぞ!」

百万円単位でやられたときには、「今日はクルマ1台廃車にしたなぁ・・・」

そして、数千万円やられたときは、「家を1軒、火事で燃やしちゃったぞ!」

などと思ったものだ。

勝ち負けの金額を日常生活の具体的なモノで換算すると、イメージがより具体化して、受けるダメージが増幅されてしまう。「10万円と1,000万円」という金額だけの抽象的な比較より、「ゴルフクラブと家」という比較の方が、失う辛さのイメージがより鮮明になるはずだ。

だから、投資においては、損益を10万円、100万円、1,000万円という「額」ではなく、あくまで「率」で考えた方がいい

同じ10%負けるのも、10万円の10%なら1万円で済むが、1,000万円なら100万円だ。金額で考えるとダメージが大きいので、どちらも同じ「ただの10%の負けだ!」と考えた方が冷静でいられる。勝つときも同様に「100万円儲かった!」ではなく、単に「10%勝った」だ。

私はこうした鍛錬を長年積んできたおかげで、今は達観して、相場での勝ち負けなど、ただのインクのシミぐらいにしか感じない?

いやいや、今回も、「毎日、千円幅の上下動をオプションで両建てしてたら、今頃、豪華クルーザー買って、カジキ釣り三昧の生活が出来たやんけ!!」

「別感情」への道のりはまだまだ遠い・・・

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