魚に合う酒を求めて「ワイン教室」に行ってみた

料理・酒

「魚さばき方教室」に何度か通って、曲がりなりにも刺身ぐらいはできるようになると、次はそれに合う酒を勉強してみようという気になった。刺身に合う酒と言えば、まずは日本酒だが、日本酒はもともと好きで、多少は知識もあるので自分で料理に合わせて選んで飲んでいる。他にはアジフライなどのフライ系ならビールか?あとはカルパッチョなどになってくるとワインということになるのだろうが、ワインについてはほとんど知識もない。

そこで、友人の紹介で青山にある「アカデミー・デュ・ヴァン」というところで「ワイン教室」なるものに通ってみた。ここは日本で一番大きなワインスクールだそうで、初心者向けの短期コースから、ソムリエの資格取得を目指している本格的な人向けの長期コースなど色々なメニューがあり、自分のレベルや目的に合わせて選べるようだ。講師もたくさんいて、どの先生のコースにするかも自分で自由に選べる。私のクラスの講師は紫貴あき先生でした。

ワイン教室の入口

私は1か月で基本をマスターできるという初心者向けのコースを選んだ。ここで週1回、90分の講義を4回受講すれば、ワインの基礎知識やマナーがマスターでき、ワイン選びの基本が習得できる、というコースだ。また、毎回4種類のワインを実際にテイスティングしながら実践的に学べるというもの。4回で33,000円なので1回あたり8,000円程度。それで90分の講義と試飲ができれば許容範囲というところか。実際に、コースは満席なのでニーズは多いのだろう。

テキストもある

プログラムの主な内容は、

第1回:ワインの歴史と種類、グラスの持ち方、注ぎ方、味わい方

第2回:ワインのつくり方、ブドウの品種と特徴

第3回:ワインの主要産地と特徴、土壌や気候が与える影響

第4回:ワインリストの見方、店でワインを注文する際のコツ、保存方法

1クラス15名程度で男性4:女性6ぐらいの比率、年齢層は20代から50代まで幅広いが、中心層は40代のマダムか。意外にも、私のような熟年おじさんもチラホラいて、幸いにも浮いた感じはしなかった。

講義では、ワインの歴史から始まり、生物(ブドウの品種)や化学(醸造法)のほかに文化(現地の文学・映画・ファッション)などの知識も教えてもらう。生徒はみな真剣にノートをとりながら先生の話を熱心に聞いている。

皆、真剣に紫貴先生の講義を聞いている

また、テイスティングの時間では、ワインを「外観」「香り」「味わい・余韻」に分けて自分の言葉で表現する練習をしていく。最初はただ飲むだけしかできず、ボキャブラリーもないし、何をどう表現すればいいのか分からない。

しかし、そこには一定の定石のようなものがあって、例えば「香り」(因みに、ワインの世界では、決してこれを「匂い」とは言ってはいけないそうだ)は果物に例える。「味わい・余韻」は、「酸度」「渋み」を中心に感じ取る。決してネガティブな表現はしない、などの基本的なルールがあるのだ。

毎回4本のワインをテイスティングする

テイスティングシートの上で味や色を比較する

例えば、「色は淡い黄色で、レモンや青りんごのような香りが素敵ですね。辛口で酸度が高いので食前酒にもいいかも。オイスターやキッシュにもピッタリですね!」といった具合だ。(決してバカにしてるわけではなく、本当にそういう気分になってくるから不思議だ)

要は、まずは定石を覚えろ、ということ。自分がどう感じるか、どう表現するか、の前に、まずは「このワインのこの味や香りはこう表現するのだ」という何百年も受け継がれてきた基本パターンを覚える。そこからようやく自分なりの解釈、というのができるようになる、ということだろう。柔道でも最初に「受け身」の型を覚えるように、何事もまずは基本の型を身に付ける、というのは武道(ブドウ!)でもワインでも同じだ(笑)

テイスティングした結果をシートに記入していく

スクールで、「テイスティングとはドリンキング(飲む)ではなく観察すること!」というところから教わり、じっくり味わいながら飲んでみると、これまで何も考えずに飲んでいたコンビニの安ワインでも別の味がする(ような気がした?)

4回だけの講義では、奥深いワインの世界のほんの入り口を覗いただけだったが、ワインの世界では基本中の基本である「カベルネ・ソーヴィニヨン」さえ知らなかった私でも、赤・白それぞれの代表的な3種類の特徴を覚えれば、かなりワインが分かった気になり、4回目が終わるころには一端のソムリエ気分だ(笑)。

釣りと同じで、ワインの世界も奥深い世界なんだということを改めて感じた。そしてカタカナばかり出てくるのも釣りと同じだ(元々、ヨーロッパのものだから当たり前だけど・・・)。なのでオジサンにとっては名前を覚えるのも大変だ。特にドイツ語はカタカナにしても難しく、講師曰く、それが日本でドイツワインの人気が低い理由の一つだそうだ。

今回、人生初の「ワイン教室」なるものに行ってみて、今からワインの専門家になるのはさすがにムリだということは悟ったが、当初の目的である「魚料理に合うワインを選ぶ」という意味では、スパークリングワインは肉でも魚でもどんな料理にでも合うということを知ったり、日本の甲州ワインを見直すきっかけにはなった。

さて、これからは、鯛でも釣れたら、スパークリングワインで乾杯!といくか。

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