「トキ」「コウノトリ」「イリオモテヤマネコ」などなど、世に絶滅危惧種は多い。
「ニホンオオカミ」や「ニホンカワウソ」は既に絶滅した。
その中にいずれ入るであろう絶滅危惧種が「ニホンジン(日本人)」ではないか?
東京生活や観光旅行では気づかない日本の衰退
普段、東京のど真ん中で、あちこちでタワマンの新築工事を目にし、規格化された工業製品に囲まれて生活していると、日本が衰退しているなどと感じることはほとんどない。

都心ではあちこちに建設中のタワマンが・・・
しかし、ひとたび地方に行くと、高齢化と人口流出、廃墟と化した店々、伝統産業の廃業など、不可逆的な衰退が着々と進行していることを実感する。

地方ではシャッター街が・・・
以下の記事では、加賀温泉旅行の「陽」の部分、表面上の煌びやかな部分だけを書いた。しかし、現地を3泊4日で隅々まで歩き回った末に見えた「陰」の部分から目を背けることもできない。

「うつわソムリエ研修会」で改めて実感した地方の実態
私が歩いて回った山代温泉・山中温泉・大聖寺は、いずれも日本の伝統産業である九谷焼や山中漆器の産地である。そこでは、驚嘆すべき技術を、ごく当たり前のように繰り返す職人技を目の当たりにした。
気の遠くなるような工程を根気よく続け、出来栄えに対して強いこだわりを持つ。「いいものを作る」という一点に集約された飽くなき探求心を、代々、受け継ぎながら。
そこでは、世間からの評価や、商品としての採算性といった、世俗の価値観が入り込む余地のない、ストイックで俗世を超越した精神世界が支配しているように感じた。自分が「いい」と思えるものだけを納得するまで作り続ける。まさに芸術の領域だ。

気の遠くなるような根気が必要な職人技
そしてそれを数千円という、その労力や価値と比して驚くほどの低価格で提供しているのだ。一般的な経済原理とは切り離されており、「芸術の世界」から「俗世」に降りて来る瞬間に、経済合理性が機能していない大きな段差が生じている。
もし自分が「1万円払うから、同じ手間を掛けて同じものを作れ」と言われても絶対にやらないだろう。一つの器をつくるのに、それだけ膨大な手間ひまがかかっていて、時給に換算すると、とてもじゃないが見合わない。そんなことをベテラン職人はずっとやっているのだ。
だから、高度な日本の職人技で作られた工芸品は、外人から見れば破格の安さと映るので、日本人の相場感からすると多少高く感じる値段でも平気で買っていく。これが今日のインバウンド価格問題であり、内外価格差の本質だ。

外人観光客には破格の値段に見える
その町々や人々が、消えようとしている。町を歩いていると、長らくシャッターが閉じられたままで、朽ち果てた店々が並ぶ。通りには観光客以外ほとんど人影はなく、いても老人ばかり。かつては栄華を誇ったであろう加賀温泉郷が、である。
日本の人口減少は加速度的に進む
同じようなことが日本全国のいたる所で起こっているのだろう。そして日本が誇る多くの伝統産業も、職人の高齢化と後継者不足で、長年培われてきた技術・産業そのものが途絶えようとしている。
社会の停滞→人口減少→国力の低下→社会のさらなる停滞→人口減少→・・・
という負のスパイラルが一旦始まると、それを逆回転させるのは至難の業だ。このスパイラルに陥った多くの「種」が絶滅し、「国」が滅んできた。
2008年の1億2,808万人をピークに日本の人口は減少を始め、2100年には5千万人になるという試算がある。わずか100年ほどで6割が消えるハイピッチだ。そして、その後も回復しなければ、さらに減少の一途をたどることになる。そして最後に待ち受けているのは、「日本人」と言う「種」そのものが絶滅に向かうということだ。

日本の人口減少は加速する
「国立社会保障・人口問題研究所」の試算では、現在の出生率と死亡率が劇的に変わらない限り、西暦3000年には日本人の人口はゼロになるそうだ。あと1,000年たらずの間の出来事だ。
逆に今から1,000年前と言えば、平安時代中期で清少納言が「枕草子」を書いたころだ。当時から現在までと同じ時間軸の間に、日本人が滅びる、すなわち日本という国が消えるのだ。

清少納言が現代を見れば・・・
とても現実味がないように思えるが、「春はあけぼの・・・」と紙に筆で書いていた清少納言に、スマホでブログを書く今の世界が想像もできなかったように、1,000年後に日本人が絶滅し、日本がなくなっている、ということを我々が想像できないのも仕方ない。
世界の珍種「ニホンジン」に復活の道は?
ガラパゴス島と同じように、極東の閉じられた島国で独自の進化を遂げた固有種で、世界でも稀にみる勤勉さと忍耐強さ、手先の器用さ、などの特徴を備えた珍種?「ニホンジン」は、すでに「絶滅危惧種」入りしているのは間違いないだろう。
「トキ」のように、保護してでも復活する術はないのだろうか?

トキのように再び・・・
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