阪神タイガースが38年ぶりにAREを達成! 日経平均が34年ぶりに最高値を更新!

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2023年11月5日、阪神タイガースが1985年以来38年ぶりに日本一になった。

そこから3ヶ月半後の2024年年2月22日に日経平均株価が1989年12月大納会の高値を超え、史上最高値を更新した。こちらは34年かかった。「34年もかかった」という印象が強いと思うが、実は、阪神が日本一になるサイクルよりは短かかった、ということだ。

 

この34年という期間は、ほぼ私の会社人生と重なり、しかもその多くの期間を私は日本株の運用に携わってきた。まさに「バブルおやじ」の由縁である。それゆえに感慨もひとしおかと思いきや、多くの人と同じようにあまりピンときていない。

バブルの象徴と言われる日経平均38,915円の高値を超えることはもうない、とずっと思っていた。あれは狂気と陶酔が生んだ幻の瞬間であって、正気に戻った後の世界では二度と再び実現することはないだろうと。それが再び実現した。

その高値と前後して社会人となった我々バブル世代にとっては、社会人生活の期間全部かけてようやくスタート地点に戻ったということだ。

 

~今の日本は当時の熱狂からは程遠い~

 

日本の株価が過去最高ということは、今の日本が歴史上最も勢いがある、ということだと思うが、実際の日本の現状は、89年当時の熱狂とは程遠く、大半の日本人には実感がないはずだ。

当時、周りはNTT株の売出しが当たったかどうか、というような話題で溢れ、学生であった私ですらNTT株の値段を日々新聞で見ていた。昨日より今日、今日より明日はきっといい日になる、という空気が日本中を覆っていた。世の中全体の熱量や高揚感が違う。NTT株ブームのおかげもあって、一般人も今より株に馴染みがあり、株高の恩恵を受けている人が多かったのだろう。

因みに『ふてほど』(テレビドラマ『不適切にもほどがある』)で描かれている昭和の世界が1986年の設定なので、あのドラマを見て感じる異次元感が支配していた時代なのである。

しかし、その後のバブル崩壊やリーマンショック等を経て、日本人がどんどん株から遠ざかってしまったので、今は多くの人が株高の恩恵を受けられていない。従って実感が沸かない。日本全体に元気がなく、先行きに明るい展望など持てていない。人口減少に高齢化、財政不足、(国力低下を示す)円安、などなど・・・

国としての成熟化、閉塞感が進む中で、株価だけが歴史上最もいい、という解離現象。単純に考えれば日経平均などの株価指数が、国全体の状況を表しているのではなく、一部の企業の業績だけがよくて、それが株価に反映されている、ということなのだろう。

実際、日経平均が上昇しても、市場全体で見ると下落している銘柄の方が多いという日もある。さらに日経平均採用銘柄225社のうちでも大きく上昇しているのは半導体関連などの一部で、225社すべてが過去最高を更新しているわけではない。

もっと言うと、「半導体関連銘柄が牽引している」というのも怪しくて、先物主導で日経平均という実態のない指数そのものを買い上げる投資家がいて、その先物との裁定取引で現物の225銘柄が買われている、という現象が目に付く。

 

かつても、バブル崩壊後に様々なバブルの形成と崩壊の原因分析が行われたが、その要因の一つに「先物主導の裁定取引の存在」が浮かび上がった。

ちょうどそのころ、日本にも株価指数の先物取引が導入され、未成熟な日本の株式市場において外人投資家が、先物と現物の価格差を利用するアービトラージ(裁定取引)によって好き放題儲けていた。何が起こっているのか分からない日本人は、「裁定買い」で上昇しているときは単純に喜んで、逆に「裁定売り」で下げ始めると慌てふためく、という天変地異に振り回される古代人のような感じだった。

今回も事後的に振り返ればそういうことだった、ということになるのかもしれない。

後は、祭りをいつ切り上げるか、というタイミングだけか・・・

 

 

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