「歴史は夜作られる」という有名な言葉があるが、私の場合、「アイデアは風呂場で生まれる」という格言?が自分の中にはある。
難しい仕事が煮詰まって、四六時中、頭の中は仕事のことでいっぱい。道を歩いてる時も、電車に乗っている時も、メシを食っていても、場合によっては夢の中でも、仕事のことを考え続けているような時もある。それだけ考えても、なかなかイイ打開策が出てこない。
そんな時、風呂に入って、ふと仕事のことを忘れた瞬間に、突然、アイデアが沸いてくることがある。そんな経験を若いころから幾度となく私はしている。考え続けている時には出てこなくて、考えるのをやめた瞬間に、逆に出て来るのだ。だから私の中では、アイデアとはそういうものだとずっと思っている。
一体、これはなぜなのか?
アイデアやひらめきが生まれるプロセスというのは、「発酵作用」のようなものなのだろう、と私は解釈している。ひたすら一つのことを考え続け、これでもか!というぐらい、脳ミソに圧力をかける。そして、その圧力をふと抜いた瞬間に、それまでかかっていた圧力から解き放たれた脳ミソから、「ボワッ」とアイデアが湧き出してくる。濁った沼から気泡が出て来るように。

アイデアは脳から出てくる気泡のようなもの?
その泡(アイデア)が消えないうちに、素早く「集気びん」で集める。すなわち、メモ用紙にひらめいたアイデアを殴り書きする。なので、以前にも書いたが、私は風呂場の脱衣所にいつもペンとメモ用紙の束を置いている。

泡が消えないうちに集気びんで集める
だから、私の家の中で「風呂場」は最もこだわりの場所でもある。家を建てた時、いちばん金を掛けたのが風呂場だ。

風呂場作りには一番こだわった
注文生産の1600mm×2400mmというゆったりサイズにしたので、洗い場にキャンプ用のリクライニングチェアぐらいは置ける。定番のテレビやジャグジー、サウナ機能に加え、ヤマハ製の音響システムを付け、ドーム天井のスピーカーから音楽が流れ、浴槽のボディソニックからは音楽に合わせて振動が伝わる。そしてリクライニングチェアに横たわりながらミストサウナを浴びつつ、親父と一緒に造った自家製の坪庭を窓から眺める。

AV装置をフル装備
ここで夕方から1時間以上、ゆっくり風呂に入るのが週末の私の習慣だ。ここでは五感のすべてを同時に楽しませる。

五感のすべてを同時に刺激する
「目」で坪庭の紅葉を愛で、「耳」ではお気に入りのエンヤの「ワイルド・チャイルド」をエンドレスで聴く。茶香炉を焚いて「嗅覚」を楽しませ、ウイスキーのロックを舌で「味わい」ながら、日替わりで選んだ入浴剤の入ったお湯をジャグジーの泡でかき混ぜて「触覚」を刺激する。

うつわソムリエらしく?茶香炉も
こうして五感のすべてから同時に脳ミソを刺激すると、不思議とアイデアが出てくるのだ。

自作の坪庭を眺めつつ
調査レポートの筆が進まない時、明日の会議でどう話すかまとまらない時、嫌な上司とバトルしてる時、そしてブログ記事のアイデアにつまった時、などなど、これまで何度も風呂場で生まれたアイデアに助けられてきた。
アイデアが出て来るタイミングを自分でコントロールすることはできないし、そもそも出てきてくれるかどうかも分からない。でも、そのためには徹底的に一つのことを考え抜き、脳に圧力をかけ続け、圧力鍋の中で発酵作用が起こるまでやり抜かなければならない、ということは確かだ。中途半端な圧力のかけ方では、出て来るアイデアもたいしたものではない。

圧力鍋で発酵作用?を起こす
本当のピンチになった時しか変身できないウルトラマンのように、限界まで頑張ったご褒美として、神様が自分の脳ミソに降ろしてくれたプレゼントが、アイデアやひらめきなのかもしれない。

ピンチになると変身できる?
そんなことを思いながら今日も風呂に入って、次のブログのいいネタが出てくるのを待つ。