包丁研ぎ教室に通って、よく研げるようにはなったマイ包丁だが、相変わらずキレイな刺身ができない。やはりネットで買った安物の包丁では限界があるのか、と思い、新たな包丁を物色していた。

包丁と言えば何といっても「堺」なので、大阪に出張でもあればついでに本場で買おうと思っていたが、なかなか機会がない。
そんななか、赤坂の「伝統工芸青山スクエア」で「堺打刃物」の特別展をやっているのを見つけた。わざわざ堺まで行かなくても、毎年、そこで堺包丁の展示販売をやっているそうだ。
早速、会社帰りに寄って、そこで、包丁作りの伝統工芸士の方の話を聞きながら、包丁を選んでもらった。

「伝統工芸青山スクエア」で堺包丁が買えた
なんでも、角がシャキンと立った刺身は、角が丸い刺身と比べて、見た目が美味しそうなだけでなく、そうでないものとは味も全く違うそうだ。
切れ味の良い包丁は、魚の細胞を押しつぶさないから、汁もほとんど出ない。さらに、包丁の背面が微妙に窪んでいるので、硬い刃金の部分で身を切ったあと、包丁の断面が魚の身に触れない構造になっていて、切り口が美しく保たれるらしい。
切り口が美しいことは、美味しい刺身の絶対条件なので、同じ魚の切り身でも、鋭い刺身包丁で切れば味は倍増する!のだそうだ。

見た目だけでなく味も変わる?
一方、両刃の洋包丁で魚を切ると、光沢のあるシャープな切り口にはならない。細胞が押しつぶされて汁が出てしまうので、切り口に水分が浮き、角も若干丸くなる、らしい。
どうやら、私の刺身がダメなのは、やはり腕ではなく、このせいだったのか!?
ちなみに、堺市には、世界最大の古墳「仁徳天皇陵」をはじめ、116基の古墳があるが、世界に誇る堺の包丁技術は、5世紀の古墳造営の際に始まったとされる。
そして、今もプロが愛用する和包丁の約90%は、堺の職人によってつくられているそうだ。最高の技術を持つ堺の包丁だが産地名はあまり有名ではなかったが、今では「堺打刃物」というブランドで日本国内だけでなく海外からも注目されている。
そして、これが今回、私が買った堺包丁である!

ついに堺包丁をゲットした!
刀のように鞘がついているのにまず目を引かれた。包丁が鞘に入っているのは初めて見たので、「収納するときに、刃が欠けないようにするためなのか?」と聞いてみた。すると、収納するときは刃が錆びないように、むしろ鞘は付けないほうがいいらしい。
では何のための鞘なのか?と重ねて聞くと、持ち運ぶときに危なくないように鞘に入れる、とのこと。昔の料理人は、いろんな店を渡り歩きながら仕事をすることも多かったので、包丁を持ち運ぶ際に使うのだそうだ。ますます刀みたいでカッコいい!

鞘を抜くとこんな感じ
また、包丁の鋼の材質には「青鋼(あおはがね)」と「白鋼(しろはがね)」の2種類があって、「青鋼」の方が切れ味が良くて、持続性があるそうだ。その一方で、硬いので研ぐのが難しいらしい。
さらに鋼には、炭素などの含有量の違いによって「一号」と「二号」があるそうだ。炭素が多いほど硬く、切れ味が持続するが、反面、欠けやすくなる。炭素は一号、二号の順で多いので、「青鋼」の「一号」が最高峰になる、とのこと。

最高峰の青鋼一号の刻印が!(笑)
値段は1万円程度から何十万円までピンキリある。その中で私が買ったのは5万円なので、「中堅どころ」といった感じか?
またまた「魚さばき方教室」に行って、新しい包丁でサバを捌いてみた
ついに念願の堺包丁を手に入れたので、早速、この新しい包丁を携えて、すっかり常連となった?築地の「魚さばき方教室」に再び行ってきた。5万円の包丁なら、さぞかしキレイな出来ばえになるだろう!と期待して。

今回の対象魚はサバである。私がいつもやっているアジと比べるとかなりの大きさで、やや圧倒される。

アジと比べるとデカい!
骨も硬いので頭を落とすのも大変だ。

先生がお手本を
無事、なんとか三枚におろせたが、見た目はあまり美しくない・・・

なんとか三枚におろせたが・・・
サバなので生モノの刺身ではなく、「焼き鯖寿司」にして食べたので、今回は刺身の出来栄えは分からずであった。

刺身ではなく鯖寿司に
でも、サバはアジより大きいためか、いつもよりむしろ捌きやすいような気がした。
いやいや、大きいからではなく、包丁がいいからに決まってる!(笑)
魚さばき方教室に通って、包丁研ぎも習って、さらに最高峰の堺包丁を使うのだから、これでキレイな刺身ができないと、いよいよ言い訳はできないな・・・
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