以前ここでも書いたが、築地にある「魚さばき方教室」で、今回は豊洲卸売市場での魚の仕入れ方と、仕入れた魚で海鮮丼の作り方を習ってきた。

市場が移転する前は、毎回、すぐ近くの築地市場で仕入れた魚を教室でも使っていたそうだが、今は豊洲に離れてしまったので、月1回だけ、豊洲市場で仕入れから学ぶコースを開催しているそうだ。またまたマニアックなコースだが、今回はそれに参加してみた。

豊洲市場の入口
豊洲市場のプロ専用の卸売市場に入った!
豊洲市場には、一般の人でも入れる小売店や飲食店が並ぶエリアと、セリ会場や卸売市場などのプロしか入れないエリアがある。有名な「豊洲 千客万来」は、豊洲場外に2024年2月にオープンした、一般人や外人観光客向けの飲食店などが並ぶ商業施設だ。

外人観光客向け?の「千客万来」
プロ向けの卸売市場は、豊洲市場の一番奥のエリアにあり、入口にはガードマンが立っていて、観光目的の見物客などは入れない。実際、われわれの後ろから中国人らしき観光客が入ろうとすると、「Professional Only!」とガードマンに止められていた。
今回、私は料理教室の材料を仕入れる、ということでプロ専用エリアに特別に?入ることができた。観光目的ではなく仕事なので、当然、のんびりと写真撮影などできない。
市場の中は細い通路を「ターレ」が走り廻るスリリングな場所
中に入ると、昔ながらの商店街にある魚屋風の店舗が、狭い区画内にぎっしりと並んでいる。店先の通路にも両側の店から商品を所狭しと並べられているので、通路を人がすれ違うのも大変だ。

2階の見学場から見た卸売市場
さらに、第1から第8まであるやや大き目の通路では、「ターレ」と呼ばれる運搬車がビュンビュン走っているので、通路を横切るときはヒヤヒヤするスリリングな?場所だ。

狭い通路をターレが走り回る
それらの間を縫って、小走りで次々と店を回り、必要な材料を手際よく買い集めていく。あくまでプロの方々の仕事場なので、愛想とか雑談とかは基本的に、ない。皆さん忙しそうにテキパキと仕事をされているのをできるだけ邪魔しないように努めるのだ。
市場の中は碁盤の目
広大な卸売市場全体は、京都の街並みのように「碁盤の目」状になっていて、縦の道が左から第一通路~第八通路まである。そして、横の道は下から1000番~8000番までと、そこから先はなぜか「イ」「ロ」「ハ」「ニ」なっている。縦も横も「8」までしかないのは何かのゲン担ぎなのかもしれない。

碁盤の目状の区画には番地がふられている
そして横の各番地内がさらに左から順に1~146までの区画に分かれていて、店の住所の表示は、「7121~7126」というようになっている。これは私が気に入った「大仲」という店の店舗番号だが、「7000番地」の「121区画から126区画まで」にある、という意味だ。

市場の屋上には広大な緑地公園が
値段は「1匹」ではなく「1キロ当り」で表示
店では、白い大きな発砲スチロールにぎっしり入った色んな魚を見ながら、どれを買おうか物色するのだが、スーパーのように1匹とか1パックの値段ではなく、「k ¥2,500」というように「1kg当りの金額」で表示されているのだ。もともと箱ごと大量に買い付けるプロ用だから当然ではあるが、我々のような「匹」買いの小口客には、そもそも値段の感覚が分からず、高いのか安いのか判断がつかない。

東京湾の黄金アジを仕入れた
交渉次第で小売りも可能?
そこで、「1匹だといくらになりますか?」と恐る恐るきいてみると、「東京湾の黄金アジ」が1匹450円とのことだったので、普段、自分ではなかなか釣れない黄金アジを買った。さらに鮭が旨いと評判の店や、鰻を串刺しで売っている店で自宅用に買ってみた。

ウナギの串焼き
仕入れた新鮮な魚で海鮮丼を作った
そして先生が仕入れてくれた魚を築地の教室に持ち帰り、そこで魚の切り方や盛り付け方のコツなどを習いながら、それぞれ自分なりの海鮮丼を作って食べた。ホタルイカの軟骨やクチバシ?の取り方とか初めて知ったし、有名店の鮭はホントに旨かった!

築地に戻り教室で海鮮丼の作り方を習う

海鮮丼が完成!
魚の流通の仕組みを実感した
今回、普通は入れない魚の卸売市場の現場を生で見て、海で採れた魚がどのようにして我々の口に届くのか、ということを少し実感した。
日本各地で水揚げされた魚が、夜間に大型トラックで東京に集まり、それを早朝のセリで落とした卸売市場の業者が、ニーズや鮮度や売り方(丸ごとか捌くか)などを考えながらその日のうちに全部売りさばいていく。そして、それが普段、我々が行くスーパーなどの店頭でパックに小分けにされて売られているのだ。いつもの私は、そんなアジを買ってきてさばいているのだが、今回は卸売市場で直接仕入れたアジなので、ずいぶんとショートカットしたことになる。

自宅に帰って黄金アジのユッケを作った
でも、本当は千葉の海で、自分で黄金アジを釣れば最短ルートなんだけど・・・