「うつわソムリエ」として「とこなめ」での産地見学会に行ってみたⅡ【番外編】

料理・酒
「うつわソムリエ」として「とこなめ」での産地見学会に行ってみた
「うつわソムリエ」になって初めて「産地見学会」なるものに参加してきた。「講座開講記念研修会」ということでもあり、記念すべき第1回目なので、会員ナンバー1桁の私としては「是非とも参加せねば!」と、直前にスケジュールをやり繰りして行ってきた。 ...

前回は、常滑での「うつわソムリエ研修会」の様子を中心に書いたが、今回は「常滑」そのものについて旅行ガイドブック風?に少し書いてみる。

「本編」の方ではほとんど触れなかったが、実は今回の研修会では、「常滑屋」の方が一日中付き添って、ガイド兼スタッフのような形で支えて頂いた。そこで地元の方しか分からない話もいろいろと聞かせてもらった。さらに、陶芸の作家さんとか、ショップの店員さんとか、他の地元の方々との話も交えながら、常滑という町について少し真面目な話をまとめることで、表面的な観光だけでは分からない常滑の姿を立体的に浮かび上がらせてみたい。

(本当は皆さんを実名でご紹介したいが、もしご迷惑がかかるといけないので、あえて名前は伏せます)

 

常滑市の概要

 

常滑市は約55k㎡と、東京都の足立区(53k㎡)や世田谷区(58k㎡)とほぼ同じぐらいの広さだが、その中で「焼物エリア」は市の中央部の一部に集中している。もともと4町1村が70年前の1954年に合併してできた市なので、南北に長い地形なのだが、その中央部の旧常滑町周辺が焼物エリアを形成している。陶芸家の育成にも熱心で、窯跡やショップだけでなく、研修生のための研究施設や貸工房なども多い。

人口は約59千人で知多半島にある市の中では最も少ない。1980年代から減少傾向であったが、2005年に中部国際空港(セントレア)ができて以降は増加に転じているようだ。

「常滑」の名前の由来は、「常」は「床」(地盤)、「滑」は「滑らか」から来ているそうで、古くから粘土層の露出が多く、地盤が滑らかであったことから「とこなめ」と呼ばれるようになったとか。

 

「常滑屋」でお茶っ葉を食べてみた!

 

その「焼物エリア」には、古い焼物工場を改装したギャラリーやショップが点在するが、その先駆けが「常滑屋」である。古い土管工場を活かして「常滑を愛し、常滑にこだわり、常滑の魅力を伝える場所として」1995年にオープンした。手作り感いっぱいのお店で、地元の良家の奥様方が趣旨に賛同して店の運営を手伝ってくれているそうだ。

そこで使われている食器類は全て常滑焼で、急須も様々な種類がある。それらを使って、おいしいお茶の淹れ方を教わり、実際に自分でやってみる。最後の一滴まで全部出し切ることと、温度管理がポイントのようだ。それらが上手くできると、4杯ぐらいはおいしいお茶が出せるらしい。そして、4杯飲んだ後は、なんと、そのお茶っ葉を急須から取り出し、ドレッシングをかけて食べるのだ!生まれて初めての経験である。

土管工場を活かしてできた常滑屋

常滑屋でのお茶の講習会?

ちなみに常滑市では、常滑焼の普及のために、飲食店で常滑焼の食器類を一定量使うと、市から補助金が出るそうだが、常滑屋は当たり前のように全て常滑焼を使っているが、その補助金はもらっていないらしい。そして、この常滑屋は、先述の澤田酒造の経営なので、常滑焼では珍しい「酒器」や、澤田酒造のお酒も販売している。

 

陶器だけでなく、ボートと空港、そしてイオンが支える町?

 

市の財政は、旧イナックスをはじめとする窯業などからの税収に加え、常滑駅の近くにある「ボートレース常滑」での競艇事業に長らく支えられてきた。しかし近年は、高齢化の影響で競艇の売上も減少傾向にあったそうだ。

 

そこに、2005年に市の沖合に「中部国際空港(通称:セントレア)」が開業したことで税収が増加に転じ、「今後も空港があるので安泰だ」と皆さん安堵しているそうだ。

ちなみに「セントレア(Centrair)」は、英語で「中部地方」を意味する”Central”と、「空港」を意味する”airport”を組み合わせた造語で、公募で決まったらしい。

 

さらに2015年には、「焼物エリア」とは駅の反対側にあたる臨海部に、巨大な「イオンモール常滑」が開業した。10年間の土地の無償提供を条件に?誘致に成功したそうだ。そしてこのショッピングモールの中には、「常滑のれん街」と「巨大まねきネコ」がある。

イオンモールの中の「常滑のれん街」

常滑のシンボル?巨大まねき猫も

ちなみに、このイオンモールの横の海岸沿いは、広大な「りんくう釣り護岸」となっていて、キレイに整備された岸辺から多くの人が釣りを楽しんでいた。今回は、強風と寒さで釣りは断念したが、次回はぜひここで釣りもしたい!

イオンのすぐ横には広大な釣り場が

まちの命運を握る?名鉄

 

さらに、常滑の命運を握る?名古屋鉄道についてひと言。

セントレア空港の開港に伴い、名古屋から空港を結ぶ「名鉄空港線」ができ、特急なら35分で空港に着くようになった。関東で言えば、成田エクスプレスのようなものか。

「焼物エリア」の最寄り駅である「常滑駅」は、空港の2つ手前の主要駅で、特急も止まる。

最近、その常滑駅の商業施設部分の閉鎖が決まって、入居しているテナントや、常滑焼の作家さん達のギャラリーが年内にもなくなるそうだ。その後、どういう再開発計画になっているのか地元の人たちは知らず、皆さん困惑しているようだ。特に、地元の作家さん達にとっては、現在のギャラリーぐらいの広さのものは東京でもなかなかなくて、閉鎖になるととても困るそうだ。

なんでも、名鉄の社長?が代わり、常滑に対する認知がまだ十分に得られていないのが原因ではないか、という話だ。早急に常滑の良さと大切さを認識してもらって、今後の常滑の発展に寄与するような再開発を期待したいものだ。

店舗等の閉鎖が決まった常滑駅

おススメの宿泊先は?

 

そして泊りがけで行く場合に問題となるのがホテルだが、常滑駅周辺にはホテルが2つあるだけなのだ。一つ先の「りんくう常滑駅」前にも1つあるようだが、いずれもビジネスホテル風なので、情緒はあまり感じられない。せっかく知多半島まで行くなら旅情を味わいたい。

そこで地元の方のお勧めをきくと「日間賀観光ホテル」がいいそうだ。常滑からは少し離れた南知多町の日間賀島に船で渡るようだが、景色も料理もとても素晴らしいそうだ。

今回は時間の関係もあり二泊とも「ビジホ」だったが、次回は釣り竿もって島まで足を延ばしてみたい。

日間賀観光ホテルの夕食の例

名古屋経由で常滑に行く際のおススメ

 

クルマ以外で常滑に行くには、空路でセントレア空港経由か、鉄路で名古屋経由、のいずれかになるだろう。

後者の場合、名古屋でのおすすめスポットとして「ノリタケの森」を紹介してもらった。名古屋駅から徒歩でも15分ほどで行けて、食器のノリタケの本社の横に一大「磁器博物館」?がある。赤レンガ倉庫や窯壁、煙突などの建築物が残るほか、「ノリタケミュージアム」の中では「オールドノリタケ」が見れるそうだ。

但し、「ノリタケミュージアム」などの屋内系施設は月曜日が休館なので、週末を絡めて行かれる場合はご注意を!私は運悪く月曜に寄ったので「オールドノリタケ」を見損ねてしまったので・・・

ノリタケ本社の横にある「ノリタケの森」

かつての工場の煙突がモニュメントとして残る 

そして、行きと帰りに経由する名古屋駅では、私の「名古屋出張時の定番メニュー」である「山本屋本店の味噌煮込みうどん」と「味仙の台湾ラーメン」を今回も食べました!

定番の山本屋本店の味噌煮込みうどん

クセになる味仙の台湾ラーメン

 

ん!なんか最後まで「マジメな観光案内ブログ」っぽくないか??

定番の「だじゃれオチ」すら思いつかないとは・・・

 

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