「うつわソムリエ」として「とこなめ」での産地見学会に行ってみた

料理・酒

「うつわソムリエ」になって初めて「産地見学会」なるものに参加してきた。「講座開講記念研修会」ということでもあり、記念すべき第1回目なので、会員ナンバー1桁の私としては「是非とも参加せねば!」と、直前にスケジュールをやり繰りして行ってきた。

 

愛知県の知多半島にある「常滑(とこなめ)市」。「急須」や「招き猫」で有名なこの町、恥ずかしながら私は、うつわソムリエになるまで、名前すら知らなかった。

日本には「六古窯(ろっこよう)」と呼ばれる有名窯元がある。瀬戸・常滑・信楽・越前・丹波・備前の六つで、「日本遺産」にも認定されている。(うつわソムリエっぽい?笑)

常滑はその中でも最古かつ最大で、かつては土管や甕の一大生産地であった。あの「トイレ」で有名な「イナックス(現LIXIL)」の創業の地と聞けばそれも納得だ。

INAXライブミュージアム

ようやく秋らしくなってきた週末の一日に、小型バスを借り切って、名鉄「常滑駅」から、「澤田酒造」「INAXライブミュージアム」「常滑屋」「やきもの散歩道」「清水源二さん工房」と夕方まで駆け足で巡って、最後は、バー&ビストロ「共栄窯」にある本物の窯の中!でのディナー&懇親会で締める、という一日研修?だ。

東京から日帰りの強行軍で来られている人が多かったようだが、私はせっかくの「初常滑」なので、前後泊の二泊三日の旅行気分で、常滑市をナメつくすように?満喫してきた。

常滑名物?「とこにゃん」がお出迎え

「とこにゃん」の裏側は実はこんな感じ(笑)

参加者は、すでに「うつわソムリエ」になった方と、現在、講座を受講中の方々で、総勢13名のほぼ初対面の面々。陶器に興味のある人たちなので年配の方々を想像していたが、皆さんお若い!30代~40代が最多層で、多分、また私が最年長クラスだったのでは?(ワインスクールの時もそうだった・・・)。

 

まち全体がまるで「焼物の博物館」

 

「窯元のまち」といっても、奥深い山中にあるわけではなく、常滑駅から歩いて10分もすれば窯跡や工房がたくさんあり、普通の町の中に焼物エリアが共存している。まちの至る所に廃窯や煙突が普通に残っており、観光用ではなく、本当に一般の民家の石垣の代わりに土管や甕(かめ)が使われている。歩道にも瓦を縦に埋め込んで、滑り止めと模様にしている。まち全体がまるで「焼物の博物館」といった感じだ。

町のあちこちに窯の煙突が残る

民家のすぐ横に廃窯がある

有名な土管坂

民家の石垣の代わりに甕が使われている

歩道の滑り止め?に瓦が

陶器だけでなく日本酒も

 

常滑は水路の便が良く、重いものを江戸へ運びやすいので、陶器だけでなく、かつては日本酒の一大産地でもあったそうだ。その中で、現存している数少ない「古式伝承製法」で日本酒を作っている「澤田酒造」の製造所も見学させてもらった。澤田会長さん自ら講義と案内役を務め、詳しい製造工程を熱心に説明して頂いた。詳細はよく理解できず申し訳なかったが、要するに、ワインや機械で作る日本酒に比べると、何倍も複雑な工程を経て今も作られているそうだ。

澤田会長自ら案内を

最後は、「常滑屋」さんお手製のアテで試飲会まであり、いろいろ珍しいお酒を飲ませていただいた。その中でも「清酒白老」の純米吟醸で作った梅酒「白老梅」が人気で、私もお土産に一本買って帰った。

試飲会では色々と珍しいお酒が

 

急須を「ろくろ」で作るとは知らなかった・・・

 

また、常滑の有名な伝統工芸士である清水源二さんの工房を見学させてもらい、ご自身の説明を聞きながら、「轆轤(ろくろ)」で急須をひねり出す過程を、文字通りかぶりつきの目の前でじっくり拝見させて頂いた。

清水源二さんの工房の中へ

ろくろで急須を造る様子を目の前で

それまで私は、普段使っている急須が「ろくろ」で作れることすら知らなかった。胴体部分だけでなく、取っ手も、注ぎ口も、蓋も、すべてろくろで作れるのだ!さらにさらに、注ぎ口の内側に付いて葉っぱが出ないようにする「茶こし」部分は、普通は金属製の網だと思うが、なんと、その「茶こし」まで陶器で手作りで作るのだ!そして、急須を入れる木箱にも、清水さんが直筆でその場で毛筆で書いておられた。

木箱の銘も直筆で

そうやって作られ、工房に何気なく展示されている急須たちは、1万円程度から高いものは23万円の値札が付いていた。カードが使えず現金払いのみだったので、残念ながら私はお高い急須は諦め、コップと皿を買った。

工房には無造作に作品が並ぶ

今回のお土産は急須ではなく・・・

本物の窯の中での夕食

 

日も暮れ、一日の研修メニューを全て終えた最後は、常滑駅にほど近い「共栄窯」での夕食と懇親会だ。この店の中には、実際に使われていた本物の窯があって、その窯の中で飲食ができるのだ。ドーム型の窯の内部は、陶器を焼く際に出る釉薬(ゆうやく)が壁一面に付着しており、そのままインテリアの塗装としてよくマッチしている。そこで、懇親会とお土産抽選会をやって、みんな何らかの常滑土産をもらって帰路についた。

私は、宿泊組の方々とそのまま夜更けまで飲んで、目の前のホテルに泊まって、翌日も常滑旅行を満喫しましたが・・・

本物の窯の中での夕食

 

今回は「とこなめ」を、ちょ「こっと、ナメ」てみた程度だが、なんとも奥深そうな「常滑ワールド」。今回訪れたところ以外にもまだまだ色々あるようなので、是非、また訪ねてみたい。

今度は現金をたくさん持って!(笑)

 

(【番外編】に続く↓)

「うつわソムリエ」として「とこなめ」での産地見学会に行ってみたⅡ【番外編】
前回は、常滑での「うつわソムリエ研修会」の様子を中心に書いたが、今回は「常滑」そのものについて旅行ガイドブック風?に少し書いてみる。 「本編」の方ではほとんど触れなかったが、実は今回の研修会では、「常滑屋」の方が一日中付き添って、ガイド兼ス...
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