ソロキャンをやって「い」た!

キャンプ

空前のキャンプブームもそろそろ落ち着いてきたようだ。

コロナ騒動の中で思わぬブームが起こり、新たにキャンプを始めた人たちが豪華絢爛なグッズのお披露目会よろしくキャンプ場に殺到し、キャンプ場はどこも予約が困難だった。「キャンプ場だけどホテルみたい」という「グランピング」なるものまで登場し、「だったらホテルに泊まればいいじゃん!」と思ってしまう。ブームに乗ってこんな豪華で高価な施設をたくさん作って、ブームが去った後どうするのだろう?と他人事ながら心配になる。

というのも、キャンプには「シーズン」があるからだ。「シーズン」というのは春夏秋冬のシーズンではなく、「人生のなかでキャンプに適した時期」という意味でのシーズンだ。

 

私もそうであったが、普通、最初に「キャンプに行こう!」となるのは、子供ができて少し大きくなって、何とか外でも寝泊まりができるようになった頃だろう。乳呑児や離乳食を食べさせている赤ん坊連れでのキャンプはかなりの猛者でないと躊躇する。

私も下の娘が小学校に上がるぐらいから本格的に「ファミリーキャンプ」を始めた。テントやシュラフや食器などのグッズを人数分揃え、おまけに「なんちゃってキャンピングカー」(ミニバンベースのキャンプ仕様車)まで衝動買いして、「年に10回はキャンプに行くぞ!」という目標を立てた。しかし、その目標はついぞ達成されることはなく、そして「家族の季節」はあっという間に終わりを告げる。

娘が中学生になると「家族でキャンプ」などというのは夢物語になる。少なくとも我が家においてはそうであった・・・。そこからは部活、受験、進学、就職、結婚と子供たちはそれぞれの人生を歩み始め、もはや誰もオヤジの相手などしてくれなくなる。

 

なので「ファミリーキャンプ」の期間はせいぜい5~6年程度、年間5回行ったとしても、全部で2030回ぐらいで山のようなキャンプグッズはただの邪魔ものと化す。そしてクルマも・・・。我が家でも十年ほどキャンプグッズはガレージの奥で眠り、「なんちゃってキャンピングカー」は近所のゴルフ練習場に行くだけの存在となった。

 

ところが何かのきっかけで「誰も行かないなら一人でキャンプに行ってみるか!」と思い立ち、埃を被ったキャンプグッズを引っ張り出し、久々に本来の用途としてキャンピングカーに積み込み、昔、家族でよく行ったキャンプ場に恐る恐る一人で出かけた。

 

当時はまだ「ソロキャンプ」というカテゴリーも単語もなく、「一人でキャンプに来てる可哀想なオッサン」というジャンルであった。それでも一人キャンプの快適さに目覚め、そこからは「キャンプは一人で行くもの」という概念に変わった。

ほどなくしてヒロシが「ソロキャン」という分野を確立してくれた。おかげで今では誰も「可哀想なオッサン」とは言わなくなり(今でも心の中ではそう思ってるかもしれないが・・・)、堂々と胸を張ってキャンプ場でも過ごせるようになった。なのでブームに乗ってソロキャンをやって「み」た、ではなく、人生の季節の流れの中で必然的にソロキャンをやって「い」たのだ。

 

これは私に限らず、恐らく多くのお父さんに当てはまることだと思う。家族に相手にしてもらえなくなったから、オジサンだけでキャンプに行って、オジサンどうしで同じテントに泊まる、というのはなかなかハードルが高いだろう。1~2回、仲間で酒を飲みながら焚き火を囲む、というのはあるかもしれないが、それを頻度高く定着させるのは難しいだろう。だから「ファミキャン」を卒業したら「ソロキャン」に行くか、キャンプをやめるか、しかない。せめて「グルソロ」(グループ&ソロキャンプ:寝るまでは皆で集い、それぞれ別々のテントで寝る)ぐらいか。

 

ソロキャンオヤジは、せいぜい一人用のテントとタープが張れれば十分なので、バカでかいグランピング施設には泊まらない。だから、今回のブームでエントリーした人たちの「キャンプ・シーズン」が終わると、あちこちのグランピング施設が廃墟と化すようなことにならねばよいが・・・

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